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福祉技術研究所株式会社 市川 洌(いちかわ きよし)氏コラム 第一回「車いすにはクッションが必須」

車いすにはクッションが必須!

 高齢者の施設や在宅で車いすに座っている人の中には、クッションを使っていない人を多く見かけることがあります。立って歩けるような人がほんの一時的に車いすを利用するときならクッションがなくても何とかなるでしょうが、自分で身体を思うように動かせない人の場合はわずかな時間でもクッションのない車いすに座ることは大きな苦痛になります。

 車いすを必要とするような高齢者は、お尻の筋肉も少なくなってきています。また、お尻が痛くなってきたとき、自分でお尻を動かして体重のかかり方を変えることも難しくなっている人が多いといえます。

 堅い座面のいす(例えば木のいす)に身体を動かさずに座ってみてください。多分5分でお尻が痛くなり、思わず身体を動かして痛みを逃げようとするでしょう。

 座っているときは座面に接触している狭い面積のお尻に頭、上肢、体幹の大きな荷重がかかります。寝ている人の場合は身体全体の広い面積に体重がかかっていますので、接触圧は座っている場合と比較してかなり小さくなっています。それでも身体を動かさずに寝ているとすぐに褥そう(床ずれ)を作ってしまうことはよく知られていることです。クッションのない車いすに座り続けることがどれほど残酷なことかはよく考えてみればすぐにわかることです。健康な人たちは身体を動かせなくなった人のことを理解することはなかなか難しいことです。

 また、車いすに座っている高齢者の方々もお尻が痛くなっても車いすとはこんなものだと思っていたり、痛い、苦しいということを表現できなかったりします。

 結果として、車いすに乗りたがらなくなって、寝ている時間が長くなったり、車いすに乗ってもすぐにベッドに戻りたがったりします。このことは障害を持つ高齢者の生活を狭くし、場合によっては廃用症候群の症状の原因になったります。また、臀部に褥そうができたとき、ベッドのマットレスだと思って、その対策だけ講じてもいっこうに治らないなどということがおこります。

 車いすにクッションは必須です。クッションのない車いすに座らせるということは極論すれば「虐待」だとも言われかねないことです。車いすを導入するときには必ずクッションも同時に導入しましょう。どのようなクッションがよいかは専門家とよく相談しましょう。